対人保険とは

かんたん用語解説
Pocket

自動車保険(任意保険)では、特定の自動車を保険の対象としていますが、実際に保険会社と契約をして保険証に名前を記載された人を「被保険者」と呼びます。そして自動車保険の対象となる運転者は、被保険者のほかに、同居の家族、被保険者の使用人、被保険者から許可を得て保険対象となる自動車を運転する者、となります。

自賠責保険は被害者救済が目的であるため、運転者を限定していません。たとえば、盗んだ自動車を運転しているときに起きた事故でも、被害者には保険金が支払われます。しかし、任意保険では被保険者以外に保険の対象となるのは、被保険者から許可を得て自動車を運行する「許諾被保険者」だけとなります。

自賠責保険では相手が誰であれ、運転者以外の者が死傷した場合には保険金が支払われますが、任意の対人賠償保険では保険金の支払い対象となる被害者を限定しています。被保険者、被保険者の配偶者、父母、子供、就業中の被保険者の使用人などが被害者となり事故で死傷した場合には、保険金は支払われません。

たとえば自分の車を誰かが盗み、その車に自分がはねられたとしたら、対人自動車保険は支払われないことになります。また、自分の車を運転中に誤って家族を死傷させてしまった場合も、対人保険は支払われません。また、自賠責保険と違い、対人保険では被害者にも過失が求められます。そして、加害者と被害者の過失割合を相殺して決められた金額が損害賠償金額として認められるのです。

通常、自動車保険会社に保険金の請求ができるのは被保険者か、またはその代理人ですが、被保険者が死亡して法定相続人がいない場合は、被害者が自ら自動車保険会社に保険金を請求しなければなりません。保険金請求には期限があり、法律上の賠償責任額が確定してから3年以内に請求しないと時効となり、保険金は支払われなくなります。

支払われる金額について、契約中の対人自動車保険の限度額が無制限となっていても、実際に対人保険から支払われる金額は、損害賠償額から自賠責保険によって支払われた金額を差し引いた額となります。

対人保険の「無制限」とは被害者の請求に応じるまま無制限に支払われるわけではなく、自賠責保険によって補償された額を差し引いた残りを、さらに過失割合によって減額した金額となるのです。対人自動車保険の多くは、交渉の専門家である自動車保険会社の示談交渉サービスが特約としてつけられています。

これは被保険者による被害者との示談を自動車保険会社が代行するサービスで、対人・対物賠償の自動車保険に付帯していることが多いものです。念のため、自分の入ろうとする保険にこのサービスがついているかどうか確認しておきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました