自動車運転死傷行為処罰法とは

かんたん用語解説
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自動車保険といえば自分のために入るものとだと思ってる方もおられるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
確かに、事故を起こして自分の補償を行うために加入するという狙いはありますが、それ以上の大きなウエートを占めるのが相手への補償です。
強制加入保険として自賠責保険があり、これでも一定の補償はできますが、しかし自賠責で補償できない範囲になってくると、任意で加入する自動車保険しか補償の手段がなくなってきます。
自分ではなく、相手の損害を補償するために保険に加入すること、これが任意保険加入の重要な趣旨だと思ったほうがいいでしょう。
そしてそれを分かりやすく説明するのが、自動車運転死傷行為処罰法だといえます。

自動車運転死傷行為処罰法の概要

自動車運転死傷行為処罰法とは、危険運転致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪が削除されて、新しく作られた新法のことです。
人を死傷させるような危険運転行為をしたものを処罰するための法律のことで、その危険運転に適用される範囲が、以前より拡大されているのが特徴です。
例えば、

  • 無免許運転、暴走行為、薬物使用による運転、ひき逃げ、飲酒運転といった危険運転行為については、従来から適用範囲でしたが、新法ではこれに加えて、病気不申告者の運転も適用範囲になっているのです。
  • つまり、てんかんや統合失調症といった病気をもつ人間の運転についても、危険運転行為として処罰の対象となったのです。
    罰則は、死亡事故の場合で懲役1年~20年、傷害でも懲役15年以下となります。
    新法のポイントは、飲酒運転や暴走行為のみならず、病気が原因で起きる事故についても、危険運転行為に含めていることです。

    自動車運転死傷行為処罰法と自動車保険

    さて、交通事故といえば任意保険が絡んできますが、この自動車運転死傷行為処罰法との関連でいえば、もしドライバーがこの新法が適用される危険運転を行って人を死傷させた場合、保険会社からドライバーに補償がなされることはありません。

    • 相手への保険金は支払われますが、自分への補償はないということを覚えておく必要があります。
    • しかし、だからといって保険に加入しなくていいわけではなく、それどころからますます加入しなければならない理由が増えたといっていいでしょう。

      自動車運転死傷行為処罰法の成立が教えることは、危険運転行為とみなされる対象範囲が広がったことを示すものであり、これまでより事故を起こしたドライバーが相手に補償しなければならない事由が増えたことを意味するのです。
      適用範囲の病気を抱えるドライバーにとっては、ますます保険の加入を真剣に考えなければならない時代となっています。

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