利益損失とは

かんたん用語解説
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自動車保険の損害賠償金(保険金)は、治療費、看護料、休業損害など損害費目ごとの損害金額を積み上げていき、事故当事者である加害者と被害者の間で総額の取り決めが行われます。医療費や休業の損害などは具体的に発生した費用ですが、慰謝料と逸失利益についてはどうすればいいのでしょう。

自賠責保険における後遺障害の残らないケガの場合、慰謝料については1日4200円と決まっており、これに通院日数や治療期間をかけて求められます。ただし、自賠責保険の損害賠償金はケガの場合、120万円と上限が決められていますので、治療費や休業補償などと合わせて総額120万円が限度となります。

逸失利益とは事故に遭わなければ将来得られたはずの利益のことで、死亡時と後遺障害では計算が異なります。死亡時の逸失利益は、現在の収入に就労可能年数をかけた金額が基になるのですが、実際にはその金額よりも低くなります。(就労可能年数は死亡時年齢から67歳までの期間が用いられます)

控除される金額として、まず、本人が生きていればかかったはずの生活費が差し引かれます。次に、逸失利益は将来に渡って支払われるはずであった収入の先取りとなるため、資産として運用した場合に見込める利息分が差し引かれます。これを「中間利息の控除」といいます。控除される中間利息を求める計算式にはいくつかの種類がありますが、自動車保険では主にライプニッツ係数とよばれる計算式が用いられます。たとえば死亡時年齢45歳で年収600万円だった場合は次のようになります。
(600万円-生活費35%)×13.163(就労可能年数22年のライプニッツ係数)=5,133万円

後遺障害の場合は、生活費は差し引かれず、障害の程度に応じた労働能力喪失率が用いられます。たとえば後遺障害第6級の労働能力喪失率は67%ですので、事故時年齢45歳、年収600万円では以下のようになります。
600万円×0.67(労働能力喪失率)×13.163(ライプニッツ係数)=5,291万円

これらの数値にについては職業や職種によっても異なります。また、被害者が未青年の場合には全年齢で67歳から18歳を引いた49歳が就労可能年数となりますが、死亡時年齢によってライプニッツ係数は異なります(0歳…7.549~17歳…17.304)。

また、未成年でも収入のある有職者では就労可能年齢、ライプニッツ係数ともに基準が変わります。0歳…就労可能年数67年/ライプニッツ係数19.239、1歳…66年/19.201~17歳…50年/18.256となります。未成年の有職者とは、幼児・児童・生徒・18才未満の学生および働く意思と能力を有する者、とあり、子役タレントや伝統芸能の継承者などが該当すると思われますが、才能ある者は幼い頃から人間的価値が高いということでしょうか。

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