ライプニッツ係数は、交通事故において本来は得られるはずであるのに得られなかった逸失利益を前倒しして受けたるために、得られた利益を控除するための係数を指しています。
このライプニッツ係数は別名で中間利息控除とも呼ばれており、例えば交通事故に遭った事で、これから先に貰えるはずであった収入が減少した分の逸失利益を補償する金額を算出するために一定の計算式が用いられています。
交通事故でわずかな怪我をしただけであれば幸いですが、怪我の程度がひどく完治するまでに多くの期間を用したり、また治ることがない後遺症を背負うこともあります。
一通り治療した後にも残された後遺症はその後も症状が固定したまま改善されることもなく、身体の損失や機能の低下から痛みなどが生じるため働けなくなることもあるのです。こうしたケースで支払われる後遺症の賠償金を算出するためのツールがこの係数となるのです。
なぜ係数を用いた計算を行なうか
一般的に事故などの損害においては、一定の損害金を支払えば済むと思われがちです。こうした係数を用いて計算するのには一つ大きな理由があり、逸失利益は将来分も含めて今現在受け取ると期間に応じて利益が生じる事になりますので、その分を控除する必要があるのです。
例えばこれから先1年分の逸失利益を支払うにあたり、この1年間の間には費用を得る事により1年分の利益が発生するのです。
例え交通事故による逸失利益だとしても、加害者が支払う費用は罰金とは性質がまったく異なりますので、被害者が先々受け取る分に含まれる余分な利益を得るのは妥当ではないと判断されます。この余計な利益には民法で定められている年利5%が適用されますので、受け取る逸失利益の中から先に5%を引いた分が実質的に被害者が受け取る事ができる金額になるのです。
では具体的にライプニッツ係数はどのような計算式で求められるのでしょうか。この係数の算出方法については非常に難解になりますので、一般的には早見表に基づいて算出することになり、こうした早見表はインターネット上でもすぐに見つけることができます。
例えば100万円の逸失利益を1年早く受けた場合には、100万-(100万×5%)=95万円とした計算になりますので簡単です。これが2年になると100万-{(100万-100万×5%)×5%}と複雑になりますので、早見表にある労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数を支払われる金額に直接掛けた方がより早く計算することができます。
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