車を運転中に電柱やガードレールにこすってしまったり、自宅の車庫にぶつけてしまったりして、車に傷が付いてしまった時、自動車保険で修理する事はできるのでしょうか。
実はそういった自損事故に対応できるのは、任意保険の中でも車両保険に加入している場合のみになります。
ただし保険を使って修理すると、翌年の保険料が値上がりする事になりますので、保険を使うかどうかは慎重に判断する必要があります。
また車両保険は使う際にも、条件が厳しかったり面倒な手続きがあったりという事もあるようです。
こちらでは自損事故を起こした際の自動車保険の補償について、様々な角度から解説したいと思います。
自損事故の補償ができるのは任意保険の車両保険のみ
自動車保険には2つの種類があります。
1つは車を所有していたら必ず入らなくてはいけない「自賠責保険」であり、そして2つめは「任意保険」です。
任意保険はその名の通り任意の加入なので、強制ではありませんが、自動車事故の様々なリスクに備えるのには自賠責保険に加入しているだけでは不十分な事が多いため、車を持つほとんどの人が加入しています。
自損事故で自分の車に対する補償を受けられるのは、任意保険の中でも車両保険に加入している場合のみです。
車両保険に加入すると保険料が高くなるため、入るかどうか迷う所ではありますが、免許を取ったばかりの若い世代の人は、比較的自損事故を起こしやすい傾向があるので、加入を検討した方がいいかもしれません。
自損事故で器物を破損した時
参考にしてください。
事故で破損した物が他社の所有物なら「対物賠償保険」
自損事故で本人の物ではない、例えば他人の家の塀や店舗など、他人の所有物を壊してしまう事があります。
そのような時の補償に使えるのが、対物賠償保険です。
自損事故を起こし、他人の物を壊してしまったような時は、すぐに警察に連絡する必要があります。
その上で保険の請求に必要になる事故証明を発行してもらいましょう。
例えば車を電柱にぶつけてしまったような場合には、電柱の修理代を支払う必要があり、それは対物賠償保険で補償される事になります。
また店舗にぶつけてしまって、そのお店の営業が一定期間出来なくなってしまったというようなケースでも、店舗の修理代等に加えて、営業出来なかった間の休業補償も、対物賠償保険で行う事になります。
自損事故で自分の車が破損した場合の補償は「車両保険」
自損事故を起こし、自分の車が傷付いてしまった時の修理代を保険で補償したいという場合には、車両保険に入っている必要があります。
対物賠償保険は、自分の車には使えません。
車両保険は自分の車のみ補償する保険ですので、少しくらいの傷などは気ならないという方は、加入しなくてもよいかもしれません。
車両保険の種類によって保障の範囲が異なる
車両保険には「一般型」と「エコノミー型」があり、それぞれ適用が異なります。
自損事故での補償が受けられるのは、一般型の車両保険のみですので加入の際にはよく注意しましょう。
一般型 | エコノミー型 | |
---|---|---|
他の自動車との衝突 | 〇 | 〇 |
盗難 | 〇 | 〇 |
火災や爆発 | 〇 | 〇 |
台風や洪水や竜巻や高潮 | 〇 | 〇 |
いたずらや落書き | 〇 | 〇 |
飛来物や落下物 | 〇 | 〇 |
当て逃げ | 〇 | ✕ |
自損事故 :電柱やガードレールに衝突 | 〇 | ✕ |
自損事故 :転覆や転落 | 〇 | ✕ |
自転車との衝突や接触 | 〇 | ✕ |
このように一般型の方が補償の範囲は広くなりますが、その分保険料は高くなります。
「一般型」と「エコノミー型」で保険料にどの位の違いがあるのか知りたいという方は、ネットなどで一括見積サイトを利用してシミュレーションしてみる事をおすすめします。
自損事故の例
- 自宅のカーポートの柱にミラーをぶつけた
- 暗い夜道で側溝にタイヤがはまってしまった
- 自宅の車庫に入れる際に塀にこすった
- カーブでハンドル操作を誤りガードレールにぶつかった
こうして見てみると多くの場合、自損事故とは運転技術の未熟さや不注意で起きている事がわかります。
運転免許を取ったばかりの若い世代や、しばらく運転をしていなかった人、または高齢者などが起こしやすいと言えるかもしれません。
そのような自損事故を起こすリスクの高い方は、車両保険を付ける事を検討した方がいいでしょう。
ただし、先程からお伝えしているように、車両保険を付けると保険料は高くなってしまいます。
特に免許を取ったばかりの若い人や、グリーン免許の方は、更に高い保険料となるでしょう。
その中で少しでも保険料が安い自動車保険を見つけるのには、一括見積サイトを利用するのがおすすめの方法です。
自損事故での怪我は対人賠償保険では補償されません
自損事故というのは基本的に、他人や他の人の車を巻き込むことのない事故ですが、その事故を起こした車に一緒に乗っていた人や、運転者本人が怪我をしてしまった場合に、どの保険で補償を受けられるのでしょうか。
ご確認ください。
運転者自身の怪我も同乗者の怪我も補償する「人身傷害保険」
人身傷害保険は、被保険者や家族、または一緒に乗っていた人が自動車事故でケガをした場合に、治療費や入院費などが補償されるものです。
補償される保険金額が、過失割合によって変動する事はありません。
自損事故では健康保険が使える
自損事故で怪我をした場合、加入している健康保険を治療に使う事ができます。
ただし、次のようなケースでは健康保険は使えませんので注意して下さい。
自損事故に限らず、業務上や通勤中のケガに健康保険は使えません。
それらは業務上災害または通勤災害とされ、労災保険によって補償される事になっているからです。
例えば、飲酒運転や当り屋行為を行った事によって自分が怪我をしたというような場合、健康保険は使えません。それは健康保険法によって定められています。
当然ですが、他人の健康保険証を使おうとするなどの不正利用はできません。
自損事故での事故後の流れ
自損事故を起こしてしまった時には、落ち着いて次の流れで手続きしましょう。
- 警察に事故を起こした旨の通報をする
- 保険会社に事故の報告をする
- 警察で事故証明をもらう
- 保険会社の指示で手続きを進める
自損事故でもすぐに警察に届け出なくてはいけない理由
自損事故を起こしたらすぐに警察に届け出ないと、保険金がもらえないケースや、自損事故を装った詐欺を疑われてしまうという可能性があります。
自損事故は基本的に相手がいなくて、証言してくれる人もいない事もあるので、すぐに警察に連絡する事が必要です。
事故証明がないと保険金が受け取れない
一般型車両保険に加入している場合には、自損事故でも補償される事になってはいますが、対物賠償保険や車両保険の請求には、警察への届け出が済んでいる事が前提となっている保険会社が多くなっています。
事故後すぐに警察に届け出ていれば、その場で事故状況の確認を行う事ができて、事故証明もすぐに発行してもらえますが、修理などをしてから警察に届け出た場合、それから現場での状況説明をしなければならなくなります。
余計な手間や時間がかかる上に、最悪の場合保険金が支払われない可能性もあります。
警察に届け出をしなくてもいいケース
たとえば自分の家の車庫に車をぶつけてしまったような自損事故の場合には、警察に届け出る必要はありません。
公共の物や他人の物を傷付けてしまった場合のみ、警察に届け出る必要があるのです。
自損事故では免許の点数は減点されない
誤解しているドライバーの方もいるかもしれませんが、自損事故を起こし器物を破損して警察に届け出をしたとしても、免許の点数が減点される事はありません。
ただし他人を巻き込んで、ケガをさせてしまったようなケースでは減点される事もあります。
自損事故で保険を使う前に確認する事
自動車保険の中でも自損事故で使えるのは、一般型車両保険であるというご説明をしましたが、実は翌年の保険料の事を考えると、安易に保険を使わない方がいいケースもあります。
そうなると自動車保険の保険料は大幅に上がってしまうのです。
ですから修理に掛かる費用と翌年に上がる保険料の金額を考え合わせてから、保険を使って修理するかどうかを決める必要があるのです。
ただし、保険会社のロードサービスを使っても等級には変化はありませんので、必要な時にはためらわずに使いましょう。
1度の入力で複数社から見積もり出してもらえるので、現在の自動車保険よりお得な保険を見つける事ができる可能性もあります。
まとめ
- 自損事故を補償できるのは一般型車両保険のみ
- 運転技術に自信がない人は車両保険に入っておいた方が良い
- 自損事故を起こして他人のものを壊したら必ず警察に届け出る
- 車両保険を付けても安い自動車保険は一括見積サイトを利用して探すといい
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