交通事故後に良くあるトラブルとして、示談が成立した後に後遺症が出たというケースがあります。事故による後遺症の代表的な症状としてむち打ち症がありますが、むち打ち症は事故直後に発症するとは限りません。
事故直後にはなんともなくても、半年ほど経過してからいきなり発症するというケースもあり、なかなか予測しにくいことでもあるのです。そこで示談が成立した後に、後遺症が出た場合について考えてみましょう。
示談後に後遺症が出た分は新しく請求できる?
一昔前までなら、成立してしまった示談に対して後から請求することはできませんでした。これは既に成立した示談には後遺症の分も含まれていると考えられていたからです。
しかし、近年ではその状況も変わってきており、
- 発症がまったく予想できなかった場合においてのみ、追加での請求を認めるというようになりました。これは最高裁の判決によるものであり、被害者保護の観点から原則として示談が成立してからでも別途後遺症に関しては請求できる流れになっています。
一方で、示談書においてこの後からの請求に対する内容も含まれるように、その旨を示す一文が盛り込まれる場合も多いです。このケースでは示談書に一文が盛り込まれているので、追加請求ができないことになります。
ただ、原則としては請求できるという形になっており、それが支払われるかどうかはまた別の話だと言えるでしょう。被害者からすれば、示談後に後遺症が発症する可能性も考えておくべきであり、その場合は先ほどとは逆に示談書にて後から後遺症が発症した時には追加請求をし、それを支払うものとする一文を入れておくべきです。
実際に示談後に後遺症が起きたらどうする?
では、実際に示談後に後遺症が発症したらどうなるのか考えてみます。基本的には示談書に記載されている賠償額を元にして、追加で発症してしまった損害賠償を請求する形がほとんどです。
例えばですが、示談成立時には後遺症の等級が10級という形で記載されていたとしましょう。そして事後に発症した後遺症によって等級が5級まで認められたとします。この場合、等級の差となる5級分に対応する損害賠償額を請求できるので覚えておくと良いでしょう。
では、示談成立後からどのくらいの期間内なら後遺症を請求できるのかも考えておきましょう。示談後に2年~3年程度の期間が空いているといった場合では問題なく支払ってもらえます。
ただし、交通事故による後遺障害だと認定される必要があるのは覚えておいてください。ちなみにですが、示談書に追加で請求できると記載していたとしても、3年間請求がなければ請求権が消滅する時効となるのも忘れないようにしておきましょう。
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