自動車保険には等級制度というものがあり、等級によって保険料の割引率が変わってきます。等級が高ければ高いほど、割引率も大きくなります。
自動車保険は事故が起きて初めて保険を使用できますが、保険を使用すると等級が下がる仕組みになっています。
また、平成24年の10月から等級制度が変わり、新たに事故有係数の適用期間の導入され、それまでの等級据え置き事故は廃止され、同内容の事故は1等級ダウン事故に変更となりました。
3等級ダウン事故
3等級ダウン事故(対人賠償保険、対物賠償保険を使用、車両保険を使用)を起こしてしまった場合、保険を使用したことで、翌年から3等級ダウンすることになります。
また、事故有係数の適用期間が3年間続く形になるので、その3年間は保険料の割引率が低くなってしまいます。
例に挙げると交通事故を起こす前の等級が20等級で割引率が63%の場合、事故を起こして、保険を使用すると17等級になってしまいます。17等級の事故有の割引率は38%になります。翌年、等級が一つ上がり18等級になります。事故有の18等級なので、割引率は40%になります。その翌年に事故有の19等級になったときの割引率は42%になります。
無事故だった場合は、そのまた、翌年になると20等級に戻ります。但し、上記のように事故を起こして保険を使用した翌年からの3年間は保険料が上がってしまいます。
年間の保険料がわかりやすく20万円だったとします。20万円の場合で事故無だと63%割引なので7万4千円になります。事故を起こして等級が17等級事故有になった場合の割引率は38%なので保険料が12万4千円になります。翌年は40%なので12万円、さらに翌年が11万6千円になります。事故有だと事故無よりも割引率が少ないため、事故有係数が3年間適用されることを考えるとトータルで10万円以上の差になります。
車両保険の場合は保険料を安くするために免責金額を設定している方が多いと思います。例えば、10万円 に免責金額を設定していて、事故を起こしてしまい、修理に20万円かかったとします。免責金額は10万円なので、保険金で受け取ることができるのは10万円になります。10万円を受け取ったとしても、事故有係数適用期間の3年間を考慮に入れるとトータルで支払う金額は多くなってしまいます。結果的に、保険金を請求する意味がありません。
- 事故を起こしてしまった場合に保険を使用するか使用しないかの判断はトータルでかかる金額を計算して決めるといいでしょう。保険を使用することで等級がダウンし事故有係数の適用期間が3年間続くことにより保険料がアップすることを頭に入れておきましょう。加入している保険会社に問い合わせればどちらのほうが結果的に得なのかを計算してくれるでしょう。
20等級が最も高い等級なので、3等級下がって、再び20等級に戻るという例でしたが、もし、15等級の時に事故を起こして保険を使用したとしたら、4年後に再び、15等級に戻ることになります。ただ、事故を起こしても保険を使用しなかったとしたら、19等級 になっているので、このことも考慮に入れて保険を使用すべきか検討するといいでしょう。
1等級ダウン事故
車両保険における1等級ダウン事故とは、契約している車が盗難、落書きにあったり、飛び石によるフロントガラスの破損、台風や洪水による被害を受けたりした場合に車両保険金が支払われた事故のことを指します。
1等級ダウン事故であっても3等級ダウン事故と同様に保険を使用すると翌年は事故有係数適用期間になります。但し、1等級ダウン事故の事故有係数適用期間は1年間になので、1年間無事故で保険を使用しなければ、その翌年には、事故無等級に戻ります。
1等級ダウン事故の中でも保険を使用するべきかしないべきかの判断をする必要があります。車の盗難や水害を受けたりした場合は保険を使用するのは当然ですが、フロントガラスの破損など比較的、少額で済みそうな場合は、保険を使用することで上がってしまう保険料と、使用した場合に受け取る保険料とを比較して、判断するといいでしょう。
- 注意すべき点とし て、保険金の請求は事故が起きてから60日以内にしなければならないということです。手元に現金が無いけど、保険は使いたくないといったケースで、車を直そうかそのまま乗ろうか迷っていたとしても、期限を過ぎてしまうと保険金を請求することはできないので、早めに判断するようにしましょう。
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