自賠責保険の支払いを受けるための手続きは、おおよそ以下のような手順となります。
1.請求書の提出 | 保険の請求者(通常は加害者)は必要な書類を自賠責保険に加入している保険会社に提出します。必要な書類は、「自賠責保険支払請求書」、自動車安全運転センターの発行する「交通事故証明書」、「事故発生状況報告書」、「診断書(死亡の場合は死亡診断書)及び診療報酬明細書」などです。 |
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2.損害調査と報告 | 請求者から請求の依頼を受けた損害保険会社は、「損害保険料率算出機構」の調査事務所に対し、請求者から提出された書類を添えて損害調査を依頼します。「損害保険料率算出機構」とは損害保険の料率を算出する機構団体で、保険の自由化以前は保険料率算定会と呼ばれ、すべての保険会社はここで決められた料率で保険商品を販売していました。 1998年の金融ビッグバンと同時に保険会社の料率使用義務が撤廃され、料率算定会は保険料率の妥当性を公証するための「損害保険料率算定機構」と改められました。同機構では業務として自賠責損害調査を行っており、事故の発生状況や支払いの適格性、傷害と事故の因果関係などを中立的な立場で調査し、保険会社に報告します。 |
3.保険金の支払い | 各損害保険会社は、損害保険料率算定機構の調査報告を受けて保険の支払金額を決定し、請求者に支払いを行います。 自賠責保険では、通常加害者が被害者に対して損害賠償金を支払った後、保険会社に保険金請求を行いますが、これが困難な場合は被害者が直接、加害者の加入する保険会社に損害賠償金を請求することができます。また、自賠責保険の損害賠償金は総額が確定していなくても、治療費や休業損害が発生している場合は請求が可能です。 |
また、被害者請求には仮渡金制度というものがあり、損害総額の確定前でも死亡の場合290万円、傷害の場合は程度に応じて、5万円・20万円・40万円のいずれかの金額が前渡しされます。仮渡金の請求には仮渡金請求書、交通事故証明書、事故発生状況報告書、診断書、印鑑証明が必要です。
被害者に持病や既往歴があり、このことが死亡や受傷と因果関係があるかどうかの判断が困難、あるいは因果関係が明らかではない場合、自賠責保険が減額されることがあります。また、すでに障害のあった人が事故によって障害の程度が重くなった場合は、事故後の後遺障害等級からもとの等級分が差し引かれた差額が保険から支払われることになります。
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