日本の交通事故による死者数は、戦後の復興に伴う急激なモータリゼーションの波に乗って、1970年ごろには年間1万7千人近くにまで増加しました。
しかし、その後は減少に転じて70年代の終わりには1万人を下回ります。1990年代前後のバブル期以降、再び1万人を越えますが、その後は13年連続で減り続け、2013年の死者数は4,373人でした。
しかし、交通事故の発生件数は1970年代の頃とあまり変わっておらず、逆に車両単独の物損事故による自動車保険の支払金額は増えています。建築物への衝突による自動車保険の支払金額は2002年には約450億円でしたが、10年後の2012年にはおよそ640億円にまで増加しています。
万一の事故に対する備えとしての自動車保険には、加入が義務付けられている自賠責保険と任意保険の2種類があります。しかし、自賠責保険の支払い対象となるのは人身事故のみで、物損事故による損害賠償は対象外です。
また、車同士の事故なら過失割合に応じて、賠償額も減額されますが、物損事故では大抵の場合、車の過失が100%です。ブレーキとアクセルの踏み間違いでコンビニに突っ込んだりしたら、店舗の修理代のほかに休業中の売り上げも補償しなければなりません。
事故を起こした人は、誰しも「まさか自分が」と思うことでしょう。そんな「まさか」に備えて、自動車保険には必ず加入しておきましょう。
自動車保険の種類について
自動車保険には任意保険と自動車損害賠償責任保険、いわゆる自賠責保険があります。自賠責保険は原付を含むすべての運転者に加入が義務付けられており、未加入で車両を運行させると反則点数6点をとられて免停、もしくは免許の取り消し処分となります。さらに1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
自賠責保険は、最低限の被害者救済が目的のため、建築物や他の車両など物損による損害は保障されません。また、人身にかかわる保障金額も死亡時で最高3000万円、けがの場合で120万円と低いものです。ですから、人身傷害の上乗せ分や物損対応に関しては任意での自動車保険加入が不可欠となります。
任意保険には、事故による自分や同乗者に対する保障、車同士の事故で相手が任意保険に加入していない場合に対応する無保険車保障などもあります。しかし、任意による自動車保険の加入率は全国平均で73.3%と意外に低く、沖縄県の52.6%、島根県の55.9%など60%を下回る地域も見られます。
自分が事故を起こした場合だけでなく、事故に巻き込まれたときにも頼りになるのが自動車保険です。自分の住む地域の自動車保険加入率や、運転者の年齢層、住民に占める子供や高齢者の割合なども、自動車保険のプランを選ぶときに考えてみるといいかもしれません。加入率の低い地域では自分の身を守るためにも自動車保険に加入しておく必要があります。
加入できる主な自動車保険
自動車保険には国内の損害保険会社、いわゆる国内損保のほか、アメリカンホームやアクサダイレクト、チューリッヒなど外資系の損保会社があります。かつて自動車保険は自動車を販売するディーラーや車検などを行う自動車工場などで保険代理店を通して加入することが普通でした。しかし、近年では外資系に代表される通販型の自動車保険が増えてきています。
代理店経由での自動車保険は事故の際に直接、相談できるメリットがありました。しかし、その分保険料は割高になるというデメリットもあります。通販型の自動車保険の場合、多くは文書によるやりとりと電話オペレーターの応対となります。人件費をかけない分、保険料は安くなりますが、事故対応は会社によってまちまちです。
自動車保険には、損保のほかにもJAや全労済、全国自動車共済協同組合などの共済保険、企業や自治体が運営する共済保険もあります。1997年に保険が自由化されてから、自動車保険の選択肢は増えましたが、その分プランが細分化、複雑化されて選ぶのが難しくなっています。
インターネット上の自動車保険一括見積りサービスなどを上手に利用して、自分にあった自動車保険を選びたいものです。
コメント