交通事故を起こした被害者の相手が治療を続けた後、傷害は治っても後遺症が残る事があります。
まず後遺症と後遺障害は異なります。
後遺症のうち労働能力の喪失を伴うなど、認定されたものが後遺障害で、損害賠償の対象となります。
後遺障害の認定は損害保険料率算出機構に属する自賠責損害調査センター調査事務所によって行われます。
16等級142項目に分類された後遺障害は、損害賠償の補償額の基礎となるだけにとても重要で、立証資料を全て揃えて確実に行う必要があります。
事故を起こした加害者側による後遺障害認定の申請
事故後の被害者の治療費等は、加害者側の任意保険会社が自賠責保険と任意保険の賠償金を一括して支払うケースが多いのですが、治療後に後遺症が残った場合、加害者側の任意保険会社が後遺障害等級の認定手続きを行う事があります。
これが事前認定です。
事故後6ヶ月ほど経過後、医師がまだ症状固定がないと判断しているのに、加害者側の任意保険会社が後遺症認定手続きを始める事が多いのですが、これは後遺障害診断書が発行された時点で症状固定となり、賠償金の支払い義務がなくなるからといわれています。
しかし、あくまで加害者側の立場なので、手続きに必要な書類を完璧に揃えてくれたり、被害者にとって適切な後遺障害等級が認定されるよう尽力してくれるとは限りません。
しかも事前認定では後遺障害等級の認定と、それに基づいて少しだけ上乗せした損害賠償額を提示するだけで、自賠責分慰謝料の支払いはありません。
加害者側の保険会社が賠償金を払うのは被害者側との示談が成立した後です。
被害者側による後遺障害認定の申請
それに対して被害者が直接、加害者側の自賠責保険会社に後遺障害等級認定を申請するのが被害者請求(16条請求、直接請求)です。(実際の手続きは弁護士に依頼します)
しかも被害者請求では後遺障害等級の認定と共に、それに応じた自賠責限度額の慰謝料や逸失利益の保険金が支払われるので、それを弁護士費用や治療費に充当する事ができます。
被害者請求は事前認定後にも行う事ができますが、被害者にとって弁護士が加害者側と争う裁判所基準の賠償額の方が遙かに多いので、最近は初めから被害者請求が行う方が増えているようです。
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