駐車違反をしている車に追突する事故が起きた場合、確かに駐車違反をしている側にも問題はありますが、止まっている状態の車に追突しているので、追突した側の過失は大きくなります。ただ単に止まっている車に追突したわけではなく駐車違反の車ということで10:0という過失割合にはならないと思われますが、9:1、8:2くらいの過失割合になる可能性はあ ります。
ただ単に、駐車違反の車に追突したという事故ではなく、駐車違反をしている車を避けようとしたら、人が出てきて轢いてしまったという事故や、駐車違反の車をよけたら対向車と接触してしまったといった、そこに駐車していなかったら起きなかったであろう事故は話が変わってきます。
つまり、状況によって駐車違反をしていた車の所有者に損害賠償請求をすることが可能ということになります。
以下のような場合は駐車違反をしていた側にも責任があることになります。
共同不法行為
交通事故における共同不法行為とは、1つの事故に対して複数の人が関係し、加害者が一人ではないということです。例えば、飲酒による事故において飲酒運転になることを知りながら、お酒をすすめた同乗者と運転者などが挙げられます。
駐車違反が絡む事故の場合において、事故を起こした車を運転していた加害者と駐車違反をしていた車の使用者の共同不法行為になるかもしれません。被害者の方は事故を起こした加害者に対して損害賠償請求をすることができるだけでは なく、駐車違反をしていた運転手に対しても請求できる可能性があります。
もうひとつ例を挙げると、道路を横断中に1台目の車にはれられて、地面に倒れているところを後ろから来た車に轢かれた場合は、共同不法行為に該当します。過失割合に関しては、状況により変わるので何とも言えませんが、最初にはねたほうも、後から轢いたほうも、両方に責任があるということです。
思ってもみない責任を負担するケースも考えられるので注意が必要です。
駐車違反が絡む共同不法行為
駐車違反をしている車Aを避けようとした加害者Bが脇から出てきた人をはねてしまったり、対向車と接触事故を起こしてしまった場合、被害者の方は、 加害者であるBだけではなく、駐車違反をしていたAに対しても損害賠償請求ができるかもしれません。
駐車違反をしていた車両と起きてしまった交通事故との因果関係が認められるかによって損害賠償請求ができる可能性が出てきます。つまり、駐車違反をしていた車両が原因で事故が起きたのかどうかがポイントになります。
加害者Bが9割、駐車違反をしていた車Aが1割の過失割合だったと判断された場合に、被害者は過失割合に関係なくA、Bの双方に損害賠償金請求を全額することが可能です。AよりBのほうが過失が大きいからBから損害賠償金を受け取ればいいと主張する人もいますが、連帯責任なので請求されたら支払いをする義務が生じます。
Bが全額損害賠償を支 払った場合はAに対して賠償金を請求することができます。
被害者はAだけに損害賠償請求をしてもいいですし、Bだけに損害賠償請求をしてもいいですし、両方に請求してもかまいませんが、賠償金額を多くもらえるわけではありません。
損害賠償金額が100万円だとするとAに100万円を支払ってもらうか、Bに100万円を支払ってもらうか、双方に50万円ずつ支払ってもらうかになります。賠償金額が100万円なので、双方から100万円ずつ受け取ることはできません。
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